jupesjupesjupesの日記

福多ラナイのくだらないショートショート

エイミーちゃんの起こした奇跡・・・

地上に降りて来た小さな天使であったエイミーちゃんが天使界に戻ってしまってから1週間近く経とうとしています。

 

あの時間は思い出してみると、部屋中に小さな白い羽の生えたピンク色のハートが飛び交っていたような気が致します。

 

神出鬼没なエイミーちゃんは、消えたと思うととんでもないところで「ミー」と鳴いてその可愛い存在を示していました。

なぜか洗面所の仕切りのところがやたらとお気に入りで、少し高くなっているそこによじ登ると満足気に部屋全体を見渡し、悟ったような面持ちで半日過ごすこともありました。

 

その様子はたくさんFacebookに動画で残してあります。たくさん記録を残しておいて良かったと思います。

(ご興味のある方はFacebookの 「Jupes Jupes」 のページをご覧くださいませ。変な声も入っていますのでご注意を)

 

時々それを見返しては、また温かい気持ちになっております。

 

そして、昨日、エイミーちゃんが2つ奇跡を起こしてくださいました。

 

ひとつは、まだ3匹残っているおじいさん宅の仔猫達の募集で、ブランコの松本さまが、商店街に「仔猫の里親募集」のチラシを貼ってくださったところ、昨日、そのチラシを見たという方からお電話のお問合せがありました。

 

なんと私の家から徒歩3分くらいのところにお住まいの方です。

 

早速お会いしてみると、優しそうなお嬢さんと一緒に現れた、情の深そうなお母さんでした。

 

狭くてゴミだらけのおじいさん宅にお連れするのは忍びなかったのですが、もう、仕方ない、と思い、松本さまが出してくださったお車で、お二人を乗せておじいさん宅に向かいました。

 

むっとするようなタバコの臭いの充満したおぞまじい部屋に入ってもまったく臆することもなく、それよりも仔猫達が逃げまどって、時々頭を出す様子に夢中でした。

 

やっと最初に捕まえたグレーのしましまの女の子を見て、娘さんは泣き出し、「亡くなった子にそっくり」とおっしゃいました。

 

きっと運命の出会いだったのでしょう。そのお方の家に行くと、そのお方のお部屋もおじいさん宅に負けず劣らずのごみ屋敷でした・・・

 

「すみません、仔猫の為にスペースを作って頂けますか?」とお願いすると「もちろんです!」とおっしゃり、早速大掃除を始めたようでした。

 

ケージも早速組み立てて、仔猫を入れてくれたようです。次に契約書を持って、訪問してみるとかなり片付いていました。

 

そのお宅のお母さんも、昨日仔猫の募集を見て、急に思い立ったとのことで、心も部屋も準備は間に合わなかったようでした。

 

しかし、ご家族の皆さんがとっても温かい情の深い方々(シングルマザーに大人のお子さま3人)で安心致しました。

 

お部屋の感じも、仔猫にとっては元居たところに似ている為に安心することでしょう・・・

 

また以前、里子に行った男の子も、行った先のお宅でデレデレの甘えん坊君に変身して、ご家族を魅了しているとのことでした。

 

本当に良かったと思います。

 

あと残り2匹。きっとエイミーちゃんがまた奇跡を起こしてくださるに違いありません。

 

 

もうひとつの奇跡は、Sさんの物件が急に決まったということです。

 

以前からずっと探し続けていたのですが、やはり最後の決め手は松本さんの魔法のひとこと、「ここが良いわよ!ここしかないわよ!」とお電話で教えてくださった物件に決まったのです。

 

その物件も今まで何度も、見ていたのですが、他の条件を考え過ぎていた為もあり、なかなか、この数か月、もんもんとしながら他も含めて、探していたのですが、そこをスパッと切り裂き、「条件なんて、なんとでもなる!」という気持ちの良い、目からうろこの一言で、進めていくと、あっという間に、その物件に決まってしまいました。

 

すごい・・・

 

ようやく、ようやく、カオス状態であった混とんとしたものが、収束に向かっている気が致します。

 

猫活動に関しても、気持ちの通じる良いお仲間を増やすことが一番です。

 

徐々に徐々に、この小平に良い方々が現れ集まって来ている気が致します。

 

もちろん、ここだけが良くなれば、とは思いません。

 

ここが最初に良くなり、そして外に草の根レベルですが、ゆっくりとじっくりと良いムーブメントが広がっていくことが理想です。

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早く決まると良いですね

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可愛い子達です

 

生と死と・・・

7月14日は、2007年に亡くなった我が父の14回忌でした。

 

もう14年目になってしまいました。

 

時間が経つのはなんと早いのか、と驚いてしまいます。

 

14年前は、兵庫県の西宮でセラピールームを持っており、その当時は、生徒さまの皆皆さまにはとっても親身になって頂き、並々ならぬほどお世話になりました。

今でも、あの温かいお心のこもったお言葉の数々とご親切は忘れ難いものとして、残っております。

 

皆さまに天界の大いなるご加護を!

 

 

6月と7月は、私の周囲では亡くなる方々が多く、それと同じくらいお誕生日が6月7月であると方々が多くいらっしゃり不思議な感じが致します。

 

3年前、6月に亡くなった兄は医療関係のもので「この時期は気圧が急に変わるから亡くなる患者が多い」と申しておりました。

 

天界では地上のバランスを取るために、亡くなるという命と同じ数だけ、生まれさせている命もあるのかも知れません。

 

ジューンブライドで結婚したとしたら、ちょうどその一年後に産むということもあるかな、なんて想像もできます。

 

 

そんなことを考えていた矢先、先日ゴルフ場で捕獲保護した雌の猫ちゃんが、動物病院で堕胎手術後、深夜に亡くなってしまったという連絡を頂きました。

 

なんという悲しい出来事でしょう・・・

 

それだったら捕獲などしない方が良かったかも知れない、と悔やんでしまいます。

 

しかし、手術をしていなかったら、あの子は車の激しく行きかう場所で、冷たい梅雨空の下で未熟児を産んでそのまま死んでいたとも予想されます。

 

どうみてもまだ生後5か月くらいの仔猫とも見える猫ちゃんでした。

 

本当に何が正解なのかは分かりません。

 

ただ、天界から私達は試されている気が致します。

 

しかし、このような不幸の原因はすべて人の無知と無関心によるものだと思います。

 

あの場所も、従業員の方々やご近所の方々は皆、これまでも仔猫がたくさん産まれていた、と知っていたはずです。

 

それを自分に関係ないから、自分には責任はない、自分の身は痛くない、関わると面倒・・・だいたいそんな理由で見て見ぬ振りをしていたのでしょう。

 

そのお気持ちはよく分かります。

 

自分も、猫に興味も関心もなければ、そのままスルーしていたことでしょう。

 

しかし、日本人の意識を根本的に変えたら、こんな悲劇は起こらないはずです。

 

「猫は外にいてはいけない」

のです。

 

「すべての猫は家猫でなくてはならない」

のです。

 

外猫の不妊去勢手術は、国の責任、として公務員の仕事にすべきです。

 

外猫がもし、人の伝染病の原因にもなるのだとしたら、絶対に外猫を増やしてはいけない国の重要な任務でしょう。

 

国家公務員の業務のひとつとして、「犬猫動物愛護課」のようなものを各主要地域に設置して、T.N.R.傭員の為に新卒の若者をたくさん雇用して、専用獣医を何人も雇ったら良いと思います。

 

そうしたら、人の雇用にもつながることでしょう。

 

そして短い猫生をまっとうしてもらうために、「餌やり」とトイレのお世話はその地域の人達の義務にしたら良いと思います。

 

そうしたら猫好きな方々も、猫嫌いな方々も納得し、折り合いをつけていけることでしょう。

 

自分が王様になったら、即、この法律を作るのに、と思ってしまいます。

 

動物のことをおざなりにしている国は精霊達からも地球からも見放されてしまいます。

 

T.N.R. をしていると、なぜに、こんなに重要で身の危険さえ発生する任務を我々個人ボランティアだけが時間もお金も労力も使い果たして、すべてやらなければならないのか、ものすごく疑問が湧いて参ります。

 

猫だけという問題ではなく、これは国と人の為の任務です。

 

Aさん、なんとかしてください。

 

これはあなたの任務であり責任です!

 

小国家をつくったら、自分が王様になってこの法律を早速作ります。

 

 

P.S. 今日も雨空の下、玄関前でT.N.R.をしました。搬送をお手伝いしてくださった松本様、ご協力を感謝致します。

 

ゴルフ場の仔猫ちゃんの死を無駄にはしたくありません。

 

 

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この子は里親大募集中

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この子達もT.N.R.予定

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Stop!

 
Stop!

ある日の昼下がり。

 雲一つない、抜けるような青空から地上に響き渡ったひとつの声。
 
人々は、その地響きがするほど轟音であったその声を聞き少々不安を覚えた。

地上を群れをなすようにひとつの方向に歩いていた人々も、あちらこちらに忙しそうに動き回っていた人々も、一瞬、立ち止まり、青空を仰いだ。

しかし、その澄み渡った青空には、雲一つ現れることもなく、鳥一羽飛ぶこともなく、風さえも吹き始めることなく、つまり何の変化も訪れなかったのだった。人々は、一瞬でも立ち止まって上を向き、もうろたえたことに羞恥心を覚え、何も聞こえず、何事も起きなかったかのように、すぐに真顔になって前を向き、そのまま歩き始めるのであった。
 
しばらくは、地上は今までと同じせわしくも平穏な日々が繰り返された。
 
しかし、あるニュースが突如、世界を不安の渦へと巻き込んでいった。
 
それはある国の畜産農家が「家畜が子を産まない」と悲痛な訴えを取り上げたニュースであった。
 
その畜産農家によると、ある日、あの声が聞こえた時から、家畜として飼っている牛や豚が子をいっさい産まず、そして鶏もが卵を産まなくなったというのだ。胎児を宿していたはずの腹もいつの間にか、以前のぺっちゃんこの腹になり、中の子は消えてしまっていると、インタビュアーに対して不安げに訴えた。

そのニュースは一瞬の間に世界中を駆け巡った。そして、次から次へと「うちの家畜もそうだ!」「どうしたというのだ?」という声がメディア上に沸き上がった。テレビや新聞をはじめとするすべてのメディアは、そのニュース一色となった。
 
数日すると今度は野生の動物を解き放って見せていた野生動物公園からも「動物の出産がなくなってしまった」という声が挙がってきた。妊娠していたはずの動物の腹の中からも胎児が消えているようだというのだ。そのニュースから、数分たってペットショップから「ブリーダーが飼っていたペットも子を産まなくなったらしい」という声が挙がり、そして各国のブリーダー達からも、同様の声が無数に挙がり、その数が一気に増えていった。
 
すると時を待たずに今度は漁業関連の人々が、「海で産まれているはずの子魚達が見当たらない」という声が挙がってきた。時を待たずに「養殖用の魚が卵を産まなくなった」という声が養殖組合から上がってきた。同様に、水族館でも「魚達が産むはずであった腹の中の卵が消えているようだ。海洋生物すべて赤ちゃんを産まない」という声が挙がってきた。それらを生業とする人々は真っ青になって慌てふためいていた。

その一方で「害虫が消えた」という喜ぶ人々がいた。害虫がさかんに増える地域の害虫があっという間に死滅してしまったようだというのだ。しかし、それを聞いて落胆していたのが、殺虫スプレーを生産し販売していた会社であった。

他には「野菜畑を荒らす害獣も減ってきた。野菜は盛んに育っている」と野菜農家は喜びの声を挙げた。
 
バイオテクノロジーの研究者達や生物学者達は首をかしげながら神妙な顔をそろえ、「哺乳類、鳥類、魚類などのいわゆる動物と呼ばれる生物だけが繁殖能力を失ったのであろうか」と分析を始めた。

確かにその声の日を境に、動物達がみるみる内に数を減らしていったが、植物や菌類などは生き生きと勢力を伸ばし、その成長を早めていっているように人々は見えた。
 
遂には、人々の不安は動物の一種である、人類はどうであろうか、というものに及んできた。
 
その暗い不安はぴたりと的中した。出産予定日が過ぎても、妊婦が子を出産しないのである。そしてみるみるうちに突き出ていた腹がしぼんでいき、中の胎児が消えてしまっているようなのであった。産婦人科では、パニック状態が起き始めていた。妊婦の腹の中からすべての胎児が消えていたのだ。もう人間の子どもも産まれなくなってしまった。産婦人科を主なる収入減にしていた医院は青くなった。そして赤ん坊をターゲットにしていた商品の会社は自己破産の道を考えはじめた。それは教育産業業界にも波紋は及んだ。数年後にはすべての学校は経営が成り立たなくなるであろう、それに付随していたあらゆる教育産業もすべて終わりだ。

世界中の人々は、今後子どもが産まれないことから起きるであろう、絶望的不安によって茫然自失状態になりそうであった。

人々は未来のアカデミックなことや文化文明に対しての不安を覚えながらも、そんなことより、何よりも、今後食べるものはどうしようかというベーシックなものに対してが優先であった。数日後には食べる肉が尽きてしまうのだ。そして魚も手に入らないのだ。

蓄えてあった肉や魚が、異常なる高値で金持ち達に独占されてしまった。
仕方なく今まで肉しか食べなかった人々が穀物や野菜を食べるしかなかった。

悪い考えをもった連中は、保護されていた犬や猫を買い取り、しめて家畜の肉と称して闇市で売るようになった。もちろん動物愛に満ちた人々からは猛攻撃を受けた。しかし、保健所にいた犬猫は、すべて引き取られて闇へと消えていってしまった。

一方で飼われていたペット達はとても大事に扱われた、もうペットは手に入らないかも知れないのだ。動物の同胞として大切にしようという意識が飼い主たちに芽生えていった。それに伴ないペットも異常な高値で売買された。その高額なペット達は、保健所から引き取られたものもかなり含まれていた。肉食のペット達の餌はすべてベジタリアン用へと変わっていった。
 
飼育されていた動物園の肉食動物でさえも、餌が穀物に変わった。そのうち、動物園は封鎖され、動物達は今まで生息していただろう、野生に還されていった。どうせ、皆死に絶えるのだ、動物達のことなど考えていられない。野に放たれた動物達は本能が突然によみがえり、生き生きとして、食べられるものを片っ端から捕まえては食べ尽くしていった。それは弱肉強食の法則に従い、次から次へと食の連鎖が続いていたのだ。やがて弱肉強食の頂点に立ち、少数で生き残るであろう最強の動物であるライオンでも、野の草を食べるしかなくなっていくのであった。
 
そして人間達は、不安の中で必死に生き残るすべを考えた。考えて考えて知恵のありったけを絞り尽して生き残りをかけた。畜産の肉を食べられなくなった人間達はハンティングに希望を持ち始めた。そして養殖の魚が手に入らなくなると自ら釣りにも出かけた。

どうしても肉や魚が手に入らなくなると今度は仕方なく代用肉を考え始めた。炭水化物の原料となる野菜や穀物はいくらでも手に入るのだ。
今までベジタリアン用の代用肉を作っていた会社は、世界中の期待を担い、政府からも多額の援助金を得て、大いに研究を早めた結果、素晴らしく肉や魚に似た味の食品を次から次へと生み出し、世に送った。

人々は、最初は仕方なくであったが、その内にこぞって、それらのオーガニックベジタリアン食品を買い求め、健康体になっていった。
 
人々はうっすらと気が付き始めていたのだ。もう人類に新しい子孫は生まれない。それであったら、今生きている人間達が少しでも長く生きなければ、世界中の文化も文明も、そして歴史もすたれてしまうのだ。
 
戦争など馬鹿々々しいこともやっていられない。どうせ皆寿命が来たら死ぬのだ。お互いの国を取り合うことなど、無駄なエネルギーだ。そんなことをするだけで腹が減る。少しでもエネルギーを温存して、生き延びるのが賢い選択肢だ。
 
しかし、なんでこんなに緑が増えているのだろう、ふと気が付くと、いたるところに草木が生い茂っている。油断をすると、家の中にまで草木が侵入し、湿った部屋にはキノコが群生していたりする。

人々はうっすらと気が付いてきた。人間の領域に、じわじわと植物や菌類が侵入してきているのだ。

今の敵は互いの人間達から、植物や菌へと変わっていった。

植物や菌類は、有難い食料であり、建築の材料にもなるし、頼りになる生命体だ。しかし、多すぎるそして強すぎる。

ゆっくりではあるが、地球が緑色に染まりつつあった。

月から見おろすと、青かった地球が緑色に変化しつつあるのだ。
 
その内にま緑になるであろう。それも時間の問題だ。

宇宙界の存在達は噂していた。

「地球が元通りの色になってきたな」と。
 
 
 

7、自家葬儀システム

 
C. ジェイ氏の次なる発明は「自動自家葬儀装置」である。
 
老い先短く死を意識しだした人を対象とする、誰にも迷惑を掛けずにあとくされなく、きれいに死んでいきたいと願う人向けの自動で行われる葬儀の装置がついた家である。
 
その家が建つ場所の土地は、人の気配のない自然豊かな、または僻地が最高の環境条件である。そしてその土地の有効利用もできる。
 
もちろん、借家であることが必須である。なぜなら、その所有者が死んだ後しばらくすると、次の人の家が建築されることになるからである。
 
たいていは、砂漠地帯の中央、ジャングルのような森林の中の草原、荒々しい海岸にそり立った絶壁の上、または名も知られていない山の頂きなどが選ばれる。
 
その家には、生命感知器がついている。
 
その家に住んでいる人が死んだと感知したと同時に、設置されていた機械が自動的に作動し始め、すべてを終えるまで動き続けるのである。
 
簡単に言うと天文学人工知能を組み合わせて緻密に計算されて設置されているレンズと太陽の光を使った装置が作動するのである。
 
太陽の光がレンズにあたると、それが着火し、家全体が燃え上がる。
 
一度、燃えると激しい炎は、またたくまに家全体を包み込む燃焼力を発揮し、完全燃焼させてしまう。その家の建材は、なにひとつ残らないように燃え尽くされるような素材を用いられているからである。
 
炎と伴って噴き出る煙は空に上昇していくと空中で水滴を集めて大きな雨雲と形成される。
 
完全に消火された後に少しだけ残る灰はやがて、その雨雲から降り注がれる雨によって溶けだし、溶けたものは土に吸収されていき、その土は、栄養をたっぷりと含んだ良い土壌となる。
 
その土の中には、その溶けだした要素に化学反応して割れて芽を出す花の種が大量に植えられている。
 
その種が次から次へと礼儀正しく順番に、土の上に小さな芽を出し、葉を広げ、茎を伸ばし、その先端に可愛らしく膨らむつぼみをつけ、それがやがて美しい花を咲かせると、色とりどりのグラデーションを描く虹色の花園が一面に広がっていく。
 
良い香りを漂わせている花々に、そよ風が吹くと、花は微量に揺れ、そよそよと揺られて、周囲に魅力的な甘い香りを振りまく。その甘い香りに誘われて寄ってくる美しい蝶が優雅に舞い、更にその特別な蜜だけを求めて吸う為に舞ってくる希少なハミングバードなどの小鳥もおり、虹色の花畑の上に更なる豪華絢爛な色を重ねて動く絵画のようになる。
 
その家で孤独の中で亡くなった魂は、天使達に支えられて雲の上まで来ると、しばらくは下界を見下ろし、自分自身を弔う壮大な自然界の優雅で美しいセレモニーを眺めることとなるのである。
 
 

6、痛みのない人間

C. ジェイ氏は考えた。
 
人間は痛みさえもたなければ、なんでもできると。
 
HAPPY MANを創ることにした。
 
脳の中の痛みを感じる部分を切除してしまうのである。
 
ついでに恐怖を感じる部分も退化させた人間を創造した。
 
その反対に、常に幸せを感じる脳内物質を流すように設定した。
 
C.J氏による
 
「HAPPY HUMAN」の誕生である。
 
その人間は生まれてから最後まで大胆不敵に挑戦を繰り返し、最高に幸せなまま死ぬ。
 
打たれても、病気になっても笑っている。
 
最後は顔だけになってニヤニヤと笑いながら死んでいく。
 
 

5、自動自家清浄ホーム

 
C. ジェイ氏の次なる発明は、自動自家清浄ホームである。
 
つまりまったく掃除をしなくとも、家が勝手に定期的に掃除をしてくれるという、
怠け者の人間にとっては、まさに天国のような家なのである。
 
すべての部屋の壁の上部の天井に接しているコーナーにあたるところすべて、そして、下部の壁の床に接しているコーナーすべてに小さな丸い穴が開いているのが、その特徴である。その穴はだいたい半径3センチ程度である。
 
モダンなデザインが好きな人にとっては、一見すると、それは部屋の壁のデザインと見えるようなおしゃれなものであり、違和感として映らない。
 
ひと昔前の人にとっては、もしかすると床の近くの穴はネズミの穴のように見えるかも知れない。それらの人にとっては天井近くの穴も、鳥があけた巣のように見えるかも知れない。
 
しかし、それらと決定的に違うのは、その穴は細い金属性の網で粗く覆われていることである。
 
その金属製の網は、安全装置としての役割がある。その網によって部屋に置かれている貴重なものが吸い込まれないようになっていることと、子供やペットが吸い込まれていかないように防御してあるのだ。
 
地下には、大型掃除機の中心部分が置かれている。そこから無数の細長いダクトが、壁の中を通り、各穴に通じている。
 
その大型掃除機は24時間休まず、しかし、住人の快適さを失わせないように、ひっそりと静かに稼働している。
 
自動的に各部屋から吸い取ったホコリやごみは、地下に集中的に集められ、その後、専用のごみ箱に凝縮して収められていく。
 
ここに住む人は、もういっさい掃除機をかける必要はなくなった。また空気清浄機も必要がない。
 
住人は、時々、気まぐれにはたきをもって、おおまかに部屋のものをはたけば良いのである。
 
そうすれば、ホコリが宙に舞い、天井近くの穴と床近くの穴の吸い込み口から吸い込まれていくのである。
 
時に、天井からミスト状の細かい水滴が降ってきて、それが部屋のホコリを包み込み、その水滴もまた吸い込み口で吸い込まれていくために、かつてのように雑巾がけもいらず、モップでの床掃除もいらなくなった。
 
疲れて家に帰ってきて、また疲れて汚れる掃除などする必要がなくなった。また家の中に用途に応じて購入していた、ごちゃごちゃとした掃除道具など、もう買う必要がないのである。
 
家事の時間短縮、最高に清潔な家での時間を住人は過ごせるようになったのである。
 
その余った時間を住人はアカデミックで優雅な趣味の時間に移行することが可能となった。
 
人類は、機能する家というようやく最高に快適かつ、シンプルな生活空間を手に入れることに成功したのだ。
 
しかし、その反面、最高に便利なものが現われた代償として、人間の脳は劣っていくのだ。
 
家は進化し、人間は退化していくのである。
 
まさにきれいな反比例状態が現われている。
 
C. ジェイ氏は、ひそかにつぶやく。「これこそ地球の進化と退化の現象だ」
 
 
 

4、Oral Man


歯痛に悩みながらC. ジェイ氏は考えた。

「どうして人間とは、食べるところと、しゃべるところが一緒なのだろうか?」

という疑問が湧いてきた。

「人間は他の動物と違って話すというコミュニケーション・ツールがある。人はそのあらゆる知識を発して披露せねばならない身体の箇所がこの口である。人前で上品に話さなければいけない時に、本能的で動物的であり下品な行為である食物を嚥下する部分が同じ個所であり、それを食事をしながらコミュニケーションを図らなければいけないという場があるとすると、それは、口を開いて、食物をそこに放り入れ、そして嚥下した後に、口を押えてしゃべることがマナーだとすると、なんとも人間とは矛盾だらけの動物なのだ・・・いっそのこと、この身体を改良してしまえば人間とはより完璧に上品で美しく、かつ機能的な生物になり、この地上の王としての風格と品格を保てるのではないか…」

という結論に達した。

そこでC. ジェイ氏は完璧なる生物を造り上げる為に、唯一の助手であり、一切文句も不平も言わないエヌ氏を使い改造人間を造ることにした。

最初に、しゃべる能力を持つ部分をどこに作りくっつけようかと悩み、最初の実験では頭のてっぺんにしゃべる穴を造ってみることにした。

そして食べる機能の口は、今までのまま顔の中央下部分に保っておくことにした。

実験のテストをする為に、エヌ氏にしゃべらせながら、食事をさせてみることにした。

「どうかね?エヌよ、食べ物の味は変わらぬか?そしてひとつなんか言ってみたまえ」

するとエヌ氏は、頭のてっぺんの髪の毛を揺らしながら「はい、ご飯はとても美味しいです、でもなんとも息がもれる感じが否めません」と空気がもれるようなひーひーというような音を出しながらしゃべっている。

C.ジェイ氏は「ううん…どうもこれでは、しゃべるこちらもどこを向いてしゃべったら良いやら悩んでしまうな、また改良してみるとするか」と言ったかと思うと、エヌ氏を麻酔で眠らせて、再び改良をし始めた。

今度は、しゃべる口を今までの顔の中央下のところとし、食べる口は食事のテーブルに近い胸の辺りにつけることにした。

改良後、さっそくエヌ氏に食事をとらせながら、話し掛けてみた。

「今度はどうだい?快適に食べられてしゃべられるかい?」

すると両方の手でごはんと箸を使い、上半身のシャツをはだけて、その箸ですくったご飯を胸の口に運んでいたエヌ氏は、

「そうですね、前の口よりはしゃべり易いようです。そして食べる方の口もテーブルに近いし、食べ物もこぼさずに、また冷めないうちにすぐにこっちの口に運べるし、良い感じがします」とまっすぐC.ジェイ氏の方を向いて答えた。

「うーん、これは成功と言っても良いかも知れん。これでいくか!」

するとエヌ氏は「先生、私のような男性であったら、このように人前で胸をはだけても問題はありませんが、ご婦人方にとっては抵抗があるかも知れませんよ」と心配げに忠告をした。

「うーん。確かにそうだな。ご婦人方の事まで頭に浮かばなかった。よし、また改良だ」

と、さっそくエヌ氏を再び麻酔で眠らせると実験室に運び込み、改良を施した。

「ふー、今度はどうだ?食べる口を喉の中央につくってみた。しゃべる気道と、食事を嚥下する食道を別々につくってみたぞ」

そう言い、さっそくエヌ氏に食事をとらせながら会話をすることにした。

「今度は前より快適かい?」とC.ジェイ氏がエヌ氏に訊ねると「はい、そうですね。少々、食べ物を運ぶ口は高くなり少々不便ではありましたが、シャツをはだけたり汚したりすることが無くなったようです」とエヌ氏は、慣れないながらも器用に両手でご飯茶碗と箸を使い、ご飯を喉にある口に運びながらしゃべっていた。

「よし、これで行こう!3度目の正直という言葉もあるように、これでいい結果としよう」とC. ジェイ氏は言うと、自分に麻酔を打ち、大きな鏡を用いて自分に手術を施し、喉に食事用の口をつくり上げることに成功した。

しばらく顔の中央下の口と喉の口で生活をしてみることにした。

世間に発表するとまたたくまに評判となり、C.ジェイ氏に手術を頼みに来る者が殺到し、C.ジェイ氏は大いに稼ぐことができた。

しばらくそのリッチな日々を過ごしていたC.ジェイ氏はある苦痛に悩ませられることになった。

「ううん、しまった喉にある方の口の中が虫歯だらけになったようだ。おまけにしゃべる方の口の中も放置していたから虫歯だらけで痛む。口が2つになった分、歯医者に行く用事が2倍になったわい。これでは世の中の歯医者をもうけさせるだけだ。歯医者達から分け前をもらわねばやってられぬ…」とC.ジェイ氏はぼやくのであった。

まだまだ改良は必要のようである。